【秘密の森の、その向こう】とNirvana,smells like teen spirit
映画の世界に浸れる良い映画だった。
フランス映画がSFになるとこんな感じになるのか。新鮮。
あらすじ
祖母が他界し、母が姿を消した日に、8歳のネリーが森で出会ったのは、自分と同い年の母でした。二人の少女の出会いがもたらすものは。
感想
原題は「Petite Maman」で小さなお母さん。そのまま。
マリオンが赤、ネリーが青っていうカラーはどういう意図だったんだろう。中間色の紫が出てくるかなー?と思ったけど特になし。
煙草のシーンとか、娘からの質問に対する返答量からおそらくだけどこのお父さんはネリーと仲の良いお父さんではないのかなーきっと。
フランスってなんとなくのイメージだけど、子供に許可を取っているとはいえ子供の前で煙草吸うのってあんまり良い父としての行動ではないんじゃないかと。
ネリーが祖母の部屋で寝た夜も、マリオンのように一緒に寝るのではなく子供部屋で寝ているし。
ただ、今回マリオンがいなくなって娘と話す時間が取れた事で娘と親密な関係になっているように見えた。
おそらく髭剃りのシーンはこれまでの父親との決別で娘との距離が縮まった事を示すのかなと。その後のネリーが帰りたくないというシーンで初めて父と娘のハグのシーンが出てくるし。
マリオンが受けた手術は股関節脱臼とかかな?ネリーも少し気になる歩き方をしてたし、意図的なのであればネリーも9歳を迎える頃に手術を受ける暗示なのかなと思ったり。血族性を強調している。
最低限の会話と、一切のBGMが削られて、森の薄暗い中の鮮やかな色彩と、おばあちゃんの家の室内の少し暗くてくすんだ色味の画面が続く。
ラストで一気に流れる未来の音楽と、湖の明るくて開放的な画面が印象的。究極的に爽やかにしたNirvanaのsmells like teen spiritのサビのような開放感。
最初の方のお婆ちゃんの家に向かうシーンでネリーがヘッドホンをかけているので音楽が好きという事は分かるのだけど、そこから一切BGMが無かったので何故だろうと思っていたら最後を効果的にするためだったのか。と納得。
印象に残ったのは、
「秘密というのは、隠すということではなく、言う人がいないこと」
「私が悲しいのは私のせい」
感情を揺さぶるような事はしてこないのに、じんわり心に響く良い映画。