げーとの思考

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【料理の四面体】:玉村豊男

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あらすじ

世界各国の料理の調理法の共通点を筆者独自の観点から分析し、料理の基本を抽象理論化しようと試みている本。アルジェリア式羊肉シチューからフランス料理を経て、豚肉のショウガ焼きに通ずる調理法とは。

感想

結論から言えば、調理とは火、空気、水、油の各要素の割合を変化させることである。というものである。また、同じような調理法であっても素材を変えるだけで洋風になったり和風になったりする。といったようなことを言っていると理解した。

 

私もどちらかといえば料理は得意な方なので、感覚的に共感できた。

小さい頃から何か食べたいものがあったら、レシピを知らべて作ることを繰り返す内に創作料理が作れるようになった。

ある一定の品数が作れるようになると、料理の一定の勘所ができるのだろう。

 

例えば、ペペロンチーノは熱したオリーブオイルに、にんにくのみじん切りと唐辛子を入れ、低温で香りを出した後、パスタと茹で汁を入れて、オリーブオイルを流し入れてフライパンを煽る。そうすると、パスタの小麦のとろみと、オリーブオイルの油脂がちょうど茹で汁と一体化し乳化するのでそれがソースになる。

ここに例えばしらすと大葉を加えればしらすのペペロンチーノになるし、小麦のとろみと油分が攪拌することでソース状になることを応用すれば、ステーキを焼いた汁にワイン、塩分を加えて最後にバターを入れれば適当なソースになりそうだと予想がつくようになる。まるで、数学の公式を覚えて、いくつか基礎問題を解くと応用問題が解けるようになるように。

初めて刊行されたのが1980年であるにも関わらず未だに復刻版が出版されているのも納得できる。

 

私個人としては、この本に書かれていることは感覚的に知っていたので大きな驚きにはならなかったものの、料理の幅を広げる際の抽象的な考え方としてはとても役立つと思うのでお勧めである。